米国判例の骨格を容易に習得できる本当におすすめのコースだと思います。

短期集中講座

受講講座

短期集中講座 第2弾「米国判例から学ぶ英米法」(2014年9月・11月)

2014年9月 IPEC主催の「米国判例から学ぶ英米法講座」第1回を受講して

大手飲料事業会社 法務担当ディレクター

英米法についての企業法務実務に関しては、それこそ毎日のようにあちらこちらで法律事務所や渉外弁護士による各種セミナーが開かれており、それはそれで裨益するものも多いのですが、それらの「根っこ」にあるもの(=法文化全般や個別の基本概念など)については海外ロー・スクールへの留学経験のない私としては理解が及ばず、いつももどかしいものを感じており、その一端でも垣間見ることのできるようなセミナー類があればいいのに、といつも思っていました。そうしたところ、高名な平野晋教授(中央大学)が判例を元に「約因」(consideration)のレクチャーを施してくれるとのこと、早速参加させて頂きました。

第一回の判例は、「In re Zappos.com., Inc.」 893 F.Supp.2d 1058でしたが、まずは学問的(理論的)な観点と実務的(実戦的)な視点が見事に融合された先生の著書である『アメリカ不法行為法』と『体系アメリカ契約法〜英文契約の理論と法務〜』の解説があり、十分に肩慣らしのキャッチボールをしてもらった後、いよいよ判例の読み込み。逐語的に最初から一行ずつ先生が行間も含めて読み解いて下さり、本当に得るところの多い講義で、あっという間に終了の時刻を迎えました。また、ところどころで脱線トークもありましたが、これがまた面白いうえに、英米の法制史や法制度、法文化や法律英語の使い方について笑いながら頭に入ってくる「真面目な雑談」で大変ためになりました。

あと、平野先生の時間とは別にひとコマ、ウエストロー・ジャパン株式会社の上田氏による米国判例データベースの利用法解説講義もあり、単にシステムの使い方のみならず米国判例検索の勘所や体系性についてもわかりやすく説明して下さり、こちらも非常に参考になります。

参加される方の実力や興味・関心に応じて、必ずや得るところのあるコースだと思います。おすすめです。

2014年11月 「米国判例から学ぶ英米法講座」、第2回受講の感想

大手飲料事業会社 法務担当ディレクター

第2回は一気に三判例と取り組んだ。

①「Harris v. Blockbuster Inc.」 622 F.Supp.2d 396、②「Diverse Elements, Inc. v. Ecommerce, Inc.」 2014 WL 100624 (S.D.Fla.)、及び③「Access Organics, Inc. v. Hernandez」 175 P.3d 899 (Mont. 2008) がそれである。

進め方は前回同様、平野教授が判例のテキストを冒頭から最後まで読み下しながら、読解ならびに解説を加えていくというスタイル。

受講者は、これにより米国判例の骨格(その形式や構造・構成など)を容易に習得できるとともに、英米法上の重要な法概念や法律理論について、非常に明快な理解を得ることができた。先生の説明は大変分かりやすく、常に教科書である『体系アメリカ契約法』の該当箇所が示され、あとで更に理解を深めることができるなど復習にももってこいの内容といってよい。

また、独特のスピード感は常に受講者の思考を刺激し、適度な脱線は判例読解の勘所の把握や応用力を広げてくれる。

今回も、取引交換理論(交換取引理論)や、イリューサリー契約の法理、「invalid」と「unenforceable」の区別、「temporary restraining order」と「preliminary injunction」の違い、「interpretation」と「construction」の相違、胡椒の実の理論及びsham contractなどをはじめとして、海外企業法務の実務にも大いに裨益する知識を得ることができ、大変面白く満足のいく講義でした。

一層のグローバル化の進展とともに、海外でも広く役に立つ米国法の知識が、海外法務担当者のみならず、多くのビジネス・パーソンにとっても必要とされるこの時代。本当におすすめのコースだと思います。

IPEC主催の「米国判例から学ぶ英米法」講座(全二日)を受講して

大手メーカー 契約担当者

一日目の講義では、中央大学の平野晋先生から、判例を読む前提となる必要な制度等の知識のインプットをいただいた後、ブラウズラップ契約が無効と判断された事例である①In re Zappos.com, Inc事件を解説いただきました。また、ウエストロー・ジャパン株式会社の上田氏から、平野先生の講義を踏まえて、データベースを使って米国の制定法・判例・学説などを検索する仕方を、実演しつつ解説いただきました。

二日目の講義では、平野先生から、仲裁合意が無効とされた事例である②Harris v. Blockbuster Inc.事件、裁判地の合意が無効とされた事例である③Diverse Elements, Inc. v. Ecommerce, Inc.事件、競業避止契約が無効とされた事例である④Access Organics, Inc.対Hernandez事件の合計3本の判例を解説いただきました。

講義の題材となった4本の判例は、いずれも英米の契約法に特有の約因法理に関わるものです。約因という、日本の民法を学んだ者には分かりにくく、英米法しか知らない者からは明瞭な説明を得られにくい概念について、噛み砕いて、かつ、繰り返し説明を受けることで、英米法の経験が浅い私のような受講生もかつてないほど理解することができたと感じています。

予習で内容を把握できたつもりでも、講義で先生の解説を受けながら読み進めていくと、判例法主義の国の発想の違いの一端が見えてきて、独習では気づかない学びがありました。また、業務では米国判例を通読することはないため、そういった意味でも貴重な経験でした。

講義テキスト(先生の著書)の「体系アメリカ契約法〜英文契約の理論と法務〜」は、講義を受ける前はとっつきにくいと感じていたのですが、講座で関係する箇所を参照しながら講義いただいたことにより、受講後は契約の成立や法的拘束力の部分がするっと頭に入りました。

英文契約関連の書籍は多々ありますが、講義テキスト(先生の著書)は米国契約法と契約実務を結びつけつつ解説した和書です。今後、今回の講義で取り上げられた以外の部分の講座があれば、ぜひ受けたいと思います。