【過去開催講座の紹介】国際契約実務者のための「英文契約における『非放棄条項-No Waiver Clause-』を学ぶ」講座 2015年10月

短期集中講座

IPEC法務英語で過去に開催した講座を紹介します。

【国際契約実務者のための「英文契約における『非放棄条項-No Waiver Clause-』を学ぶ」講座 2015年10月開催】

講座の狙い

英文契約書には普通、「非放棄条項」と訳される「No Waiver Clause」を挿入して、契約違反な履行遅延等を見逃してもそれが債権者の権利放棄とはならないように配慮します。更に、「NOM: No Oral Modification」と呼ばれる条項を挿入して、代表者による署名付書面によらなければ契約変更ができないようにして、現場の契約履行過程で勝手に契約内容が変更されないような歯止めにすることが一般的です。しかし米国では、そのような条項が挿入されていても、契約書とは異なる現場の口約束に効力が付与されるおそれがあります。その危険性が高まるのは、特に「約束的禁反言」(promissory estoppel)と呼ばれる法理が当てはまるような行動を債権者がとった場合です。今回の講座では、フランチャイズ契約におけるそのような危険性を分析した米国の専門弁護士による英文の論考と代表的裁判例を読み解くことで、以下を修得できます。

  • 「放棄」(waiver)の法理を、具体例を通じて理解できる。
  • 「非放棄条項」や「NOM条項」が無効になる場合を、具体例を通じて理解できる。
  • 「約束的禁反言」の法理も具体例を通じて理解できる。
  • 米国弁護士が著わした英文法律論考や英文裁判例を読むための基礎知識を学べる。

講座スケジュール

2015年10月3日(土)13:00-17:50

日時 授業内容
1回目
13:00-14:30
・非放棄条項が規定されていたにも拘わらず、支払遅延を許容していたために、時宜に適った支払を受ける権利を放棄したと解釈された裁判例を読む
判例: Soltis v. Liles, 275 Or. 537, 551 P.2d 1297 (Or. 1976).
○不動産取得代金の分割払契約において、時宜に適った支払が契約の本旨であると規定され、
かつ非放棄条項も含まれていたにも拘わらず、
度重なる支払遅延を許容していたために時宜に適った支払を受ける権利が「放棄」されたと解された事例を学びます。
2回目
14:40-16:10
・米国の専門弁護士が著わした英文論考を読み解く
論考: Kerry L. Bundy & Scott H. Ikeda著「How Waiver,
Modification, and Estoppel May Alter Franchise Relationships」in『FRANCHISE LAW JOURNAL』 3頁~ (Summer 2010).
○「非放棄条項」や「NOM条項」が機能しないリスクと対策を論じた論考を読んで具体的な理解を深めます。
3回目
16:20-17:50
・「約束的禁反言」を理由に「非放棄条項」や「NOM条項」を尊重しなかった裁判例を読む
判例: Cin-Doo, Inc. v. 7-Eleven, Inc., 2005 WL 768592 (D.N.H. Apr. 6, 2005).
○「非放棄条項」や「NOM条項」があっても安心できない「約束的禁反言」の法理を具体的事例から学びます。

使用教材:「体系アメリカ契約法~英文契約の理論と法務~」(中央大学出版部)
副教材:米国論考、米国判例 他

お申込及びお支払期日

2015年9月26日(土)

講師

平野晋氏

職歴

現職 中央大学教授(総合政策学部)米国弁護士(NY州)・博士(総合政策)(株)NTTドコモ法務室長

MORGAN, LEWIS & BOCKIUS法律事務所(ロサンゼルス事務所)研修生

学歴

中央大学法学部法律学科卒業、
コーネル大学(法科)大学院(Cornell Law School)修士課程修了(LL.M.)
コーネル大学(法科)大学院(Cornell Law School)法務研究科特別研究生(コーネル国際ロージャーナル誌編集員)

お薦めの方

英文・国際契約の担当者、国際法務担当者、米国法・司法制度を理解した方、国際ビジネスに従事している方など

※企業研修としてご活用ください。