実際の取引契約においての有益なノウハウを学ぶことができました。

短期集中講座

受講講座

短期集中講座 第3弾「米国判例に学ぶ英文契約と一般条項」(2015年3月)

「米国判例に学ぶ英文契約と一般条項」講座、第1日目を受講して

大手飲料事業会社 法務担当ディレクター

年秋に受講したやはり平野先生の「米国判例から学ぶ英米法講座」が素晴らしかったので、今回も受講させて頂きました。

初日は主に損害賠償に関する判例読解が中心。第1回はテキストを用いて米国不法行為法の概要や主要概念、訴訟手続の流れなどについてしっかりレクチャーした頂いた後、「ViaStar Energy, LLC v. Motorola, Inc.」2006 WL 3075864 (S.D.Ind.)を読み解いていきました。「consequential damages」とは何か、「lost profits」は直接損害なのか拡大損害なのか、当事者の合理的意思解釈を管轄裁判所はどのようにして行なったのか等々について、原告と被告の主張・立証の過程を大変丁寧になぞっての解説には、あたかも一瞬自分がその訴訟当事者ででもあったかのような錯覚すら抱いてしまいました。

第2回はウエストロー・ジャパン社の上田さんによる判例検索システムである「WestlawNext」のデモと解説でしたが、単なるシステムの説明にとどまらず、米国判例データベースの基本ストラクチャーやUSCA/CFRの解説など、非常に射程の広いレクチャーで役に立ちました。なお、「WestlawNext」は「WestlawInternational」の後継バージョンとのことですが、操作性が格段に向上した印象を受けました。

第3回は、第1回に引き続きViaStar判例の読解ののち、同判例において引照され、またわが国の民法第416条の淵源ともなった法制史上の超有名判例である「Hadley v. Baxendale」判決を読み解いてもらいました。この判例、なんと英国は1854年の損害賠償判例なのですが、時空を超えて現代の米国判例でも引用されるというその影響力(規範力)に英米の判例法体系の厚みと凄みを改めて感じた次第です。

今回は当方を含め13名の聴講者が参加して活況でした。総じていえば、今回の講座も外形は判例の解説講座ですが、企業の海外法務実務にも精通された先生の手(いや口)になるだけあって、結果としては単なる解説のみならず、実際の取引契約において例えば売主または買主の立場(利益保護の観点)からみてどのように損害賠償条項を書き込むべきか、などについても非常に有益なノウハウを学ぶことができました。

参加者からの授業終了後の質問にも平野先生は大変丁寧に答えて下さり、実務に役立つ回答を聞くことができました。次回も楽しみです。

「米国判例に学ぶ英文契約と一般条項」講座、第2日目を受講して

大手飲料事業会社 法務担当ディレクター

先週に続いての第2日目の講義。第4回では「In re NORTHWEST AIRLINES PRIVACY LITIGATION」2004 WL 1278459 (D.Minn.)、第5回では「In re JETBLUE AIRWAYS CORP. PRIVACY LITIGATION」379 F.Supp.2d 299と、個人情報保護に関する二判例が取り上げられました。契約成立の有無や保護法益の問題(公共目的 vs. プライバシー)、economic lossの原則とcertainty ruleの基準など、判例を読み解きながら導かれる様々な法理は大変興味深く、今回も非常に勉強になりました。また、エクストラとして、課外にて参着すべき英文の論文が配布・指定されるなど、今回はお得感もありました。

授業では教科書である『体系アメリカ契約法』において参照すべき部分も都度明示されましたので、それらを受講後の復習で読むことにより、改めて判例の論理構成や射程をしっかりとした理論的な裏付けをもって学び得たと思っています。(このテキストは、さまざまな判例理論とそこから導き出される企業法務上の着眼点、特に契約起案・交渉上の留意点がきちんと織り合わされており、実務でも使い勝手がよく、いつも座右に置いています。英米法律用語辞典としても過不足がないですね。)

講義を終えて改めて感じたことですが、現実の契約起案や交渉等の場面では、やはりお手軽なセミナーなどで勉強した付け焼刃的な知識では戦えないというのが私の持論ですが、米国判例読解の手ほどきを受けながら、授業中そして予復習中に自分で根底から考えることを迫られる本講座は、情報量が実に多くついていくのが正直大変ではありましたが、知識を血肉化するという意味で大変有益なものでした。貴重な機会をありがとうございました。

「米国判例に学ぶ英文契約と一般条項」講座を受講して

大手建設会社法務部 職務年数5年・課長職

一言で纏めますと、参加される方の実力や興味・関心に応じて、必ず得るところがあり、企業法務の担当者が十二分に満足できる、充実した講義内容でした。(一緒に参加した会社同僚も「貴重な講座を受講できることができた」と大変喜んでいます。)

私は、国内の本社法務部の立場から、米国案件に関する契約審査や訴訟対応等を担当しており、以前から英国法を継受する米国法の理解を深める必要性を感じていました。

これまで、米国法の理解を深めるべく複数の書物を読みましたが、なかでも、平野先生の著書「体系アメリカ契約法〜英文契約の理論と法務〜(講義テキスト)」は、契約法に関し明快でわかりやすい説明であったため、前々から先生の名前が深く記憶に残っていました。

今回偶然IPECさんの回覧物にて平野先生が講座を開かれることを知ったため、飛びついて参加した次第です。

一日目の講義では、①判例を読む前提として必要な知識、②損害賠償責任条項が争点となったViastar Energy LLC v. Motorolla Inc.事件の判例、③民法416条(いわゆる通常損害、特別損害)の元祖ともされるHadley V Baxendale事件の判例等について、平野先生から説明を受けました。実務上もよく悩まされる論点について、著書と違わぬ明快な説明を受けることができ、非常に参考になりました。

また、平野先生の時間とは別にウエストロー・ジャパンの上田氏による米国判例データベースの利用法解説講義がありました。単なるデータベースの利用法のみならず、米国判例検索の勘所や体系性を解説いただき、内容の濃いものでした。

二日目の講義では、プライバシーポリシー違反に伴う損害賠償立証に関する判例「In Re Northwest Airline Privacy Litigation 」を中心に平野先生から説明を受けました。必要に応じて、先生の著書も参照しながら説明していただいたことにより、「契約違反時の損害賠償」に対する考え方について、更に理解を深めることができました。

一日目、二日目を通じて、先生の噛み砕いたわかりやすい説明が非常に印象に残っています。また、これまでの実務経験や予習をもとに内容を把握したつもりで講義に臨んでも、平野先生(と上田氏)の説明を受けると、新しい学びや発見が多々あり、私自身が「実は米国法をよく理解していなかった」と改めて気付かされました。その他、予習や講義で判例を通読する機会が多い点も勉強になりました。(通読により判例の意外な「射程範囲」がわかるものもあり、興味をもって取り組むことができました。)

最後になりますが、既に平野先生による講座が2回あったことを全く知らず、今回初参加しました。前回までの受講機会を逃してしまったことを非常に残念に感じています。今後も、先生の他講義があれば、ぜひ受講したいと考えています。

2015年3月14日(土)1日目、3月21日(土)2日間 終了!

中央大学総合政策学部教授の平野晋先生にご講義頂く「米国判例」シリーズ第3弾「米国判例に学ぶ英文契約と一般条項講座」を終了致しました。

今回は「損害賠償」に焦点をあて、英文契約法理に特有な英単語や実際の使われ方、基礎知識を学んでいきます。1日目は、損害賠償額を制限する契約条項の有効性が争われた「ViaStar Energy, LLC vs Motorola」事件を題材に、1854年から現在に至るまで米国契約法の基準とされている有名裁判「Hadley vs Baxendale」の事例も取り込みながら理解を深めていきました。

また、1日目は、今回判例教材の提供を下さったウエストロー・ジャパン株式会社様より有料データベースでの判例の調べ方についてもご教授頂きました。

日本と米国とでは法制度の成り立ちが異なり、米国ではそれぞれの州法や過去の事例も用いながら案件を懸案していく必要があります。多岐にわたるソースからの効果的な情報収集能力も、国際法務担当者にとって必要なスキルとなります。

2日目の21日(土)は、さらに別の米国判例を用いながら、特に「economic loss」について踏み込んで学びました。プライバシー・ポリシー違反の適用範囲とは?損害賠償の請求はどのように主張されなくてはいけないのか?過去にいくつもの航空会社が直面することとなった裁判について分析していきました。

今回の講義では、ビジネスの場で実際に起こりうる契約時の問題について、受講生の方々もご自身の業務に照らし合わせながら熱心に学んで頂けました。