【過去開催講座の紹介】国際契約実務者のための「米国判例から学ぶ英米契約と一般条項」講座2015年3月

短期集中講座

IPEC法務英語で過去に開催した講座を紹介します。

【国際契約実務者のための「米国判例から学ぶ英米契約と一般条項」講座2015年3月開催】

講座の狙い

英文契約のドラフティングにおいては、損害賠償を制限する条項が重要です。しかしそこで多用される文言、例えば「consequential damages」「special damages」「indirect damages」等の正確な意味・理解を、日本で修得することは困難です。これらの文言・法理の出発点が「判例」にあるために、判例を読んで理解することが求められるからです。

さらにアメリカ契約法理においては、原則として「economic loss」以外の賠償請求が認められず、損害賠償額も証拠によって確定的でなければ認められない(certainty rule)という基本原則も存在します。これらの理解も、具体例を判例で学ぶことにより身に付けることができます。言い換えれば「判例を読むこと」が、海外の企業とアメリカ法に基づいた契約書を交渉する際の原点になるのです。

この講座では、契約違反時の損害賠償に関する実際の判例を読むことで、次のことが修得できます。

英文契約に重要な「損害賠償」法理の基礎を修得できる。

  • 損害賠償を制限する条項のドラフティングに不可欠な「consequential damages」等の文言を理解できる。
  • その他の英文契約法理に特有な英単語と、実際の使い方・用法を理解できる。
  • 英文判例を読むための基礎知識を学べる。

講座スケジュール

2015年3月14日(土)1~3回目、3月21日(土)4~5回目

日時 授業内容
1回目
13:00-14:30
・判例を読むために必要な知識と理解
-裁判制度(連邦・州)
-民事訴訟法や証拠法上の基本的法律用語や基本的概念
・アメリカ契約法の基礎と損害賠償額制限条項
教科書: 「体系アメリカ契約法~英文契約の理論と法務~」(中央大学出版部)
判例:ViaStar Energy, LLC v. Motorola, Inc., 2006 WL 3075864 (S.D. Ind. Oct. 26, 2006).  
売主が買主に製品供給を怠り損害賠償を請求された中で、損害賠償額を制限する契約条項の有効性が争われた事件。
損害賠償額制限条項の有効性と、「consequential damages」や「lost profits」等の英語表記の意味を学びます。
2回目
14:40-16:10
・有料データベースで判例を調べる
-有料データベースの概要、使い方の説明
-判例検索方法の説明
-制定法の検索方法、および論文や文献・リステイトメント等の検索方法
判例:引き続き ViaStar Energy, LLC v. Motorola, Inc.,事件
3回目
16:20-17:50
・日本の民法416条の元祖といわれる判例を読む
判例:Hadley v. Baxendale, 9 Exch. 341, 156 Eng. Rep. 145 (1854).
損害賠償額の基準として、今でもアメリカ契約法のリーディング・ケースです。
「general damages」(通常損害)と「special damages」(特別損害)の区別について学びます。
4回目
13:00-14:30
・プライバシー・ポリシー違反の裁判例に学ぶ損害賠償額立証に関連する判例を読む
判例:In re Northwest Airlines Privacy Litigation, 2004 WL 1278459 (D. Minn. June 6, 2004).
プライバシー・ポリシーに反して航空会社が旅客の個人情報を開示しても契約違反にならないと解された代表的裁判例。
(1)契約不成立(「indefinite」 termsの法理、「unilateral contracts」の法理
、及び「承諾」の意思表示の有無と「browse-wrap contracts」の法理)、
及び(2)損害賠償額の立証困難性(「certainty rule」と「economic loss」の必要性)を学びます。
5回目
14:40-16:10
・「economic loss」の意味を裁判例に学ぶ
判例:In re JetBlue Airways Corp. Privacy Litigation, 379 F.Supp.2d 299 (E.D.N.Y. 2005).
プライバシー・ポリシーに反して航空会社が旅客の個人情報を開示した事件において、損害賠償額の主張が欠けているとして請求棄却された裁判例。4回目に続いて、特に「economic loss」について踏み込んで分析します。

使用教材:体系アメリカ契約法~英文契約の理論と法務~(中央大学出版部)
副教材:米国判例 他

講師

平野晋氏

職歴

現職 中央大学教授(総合政策学部)米国弁護士(NY州)・博士(総合政策)(株)NTTドコモ法務室長

MORGAN, LEWIS & BOCKIUS法律事務所(ロサンゼルス事務所)研修生

学歴

中央大学法学部法律学科卒業、
コーネル大学(法科)大学院(Cornell Law School)修士課程修了(LL.M.)
コーネル大学(法科)大学院(Cornell Law School)法務研究科特別研究生(コーネル国際ロージャーナル誌編集員)

お薦めの方

英文・国際契約の担当者、国際法務担当者、米国法・司法制度を理解した方、国際ビジネスに従事している方など

※企業研修としてご活用ください。