英文契約書を学ぶ(読む+書く)際の難しさの第一はやはり、登場する法律英語の意味が一筋縄では把握できないところにあります。例えば、「acceleration」。えっ、「加速化」って何のこと?と、この単語が出てくる英文契約書を読んだ方はおそらく思うのではと推察しますが、これは「加速化」ではなく、「期限の利益喪失」を意味します。(つまり、債務者の弁済期日の到来が加速する(弁済期日が加速して到来する)、すなわち、弁済期日が繰り上がって債務者に直ちに弁済義務が発生する=債務者の期限の利益が喪失する、ということになります。)
このように、登場する英単語の意味ひとつをとっても、英文契約書においては通常の英語の読み書きとは異なる場面が多いということになりますが、単に専門用語としての意味だけであれば、昨今では優れた法律英語辞典もあり、あるいはもっと手っ取り早くネット検索で、いくらでも語義の確認は可能です。
しかしながら、IPEC英文契約書講座に関心をもたれた皆さんは、おそらく単にそういうことではなく、もっと実践的(実戦的)な知識やワザを習得されたいと思っているのではないでしょうか。例えば、「acceleration」の語に戻れば、このような名詞形は第一義的には英文契約書上の個別の条項の見出しとしては使えますが(例えば、「Acceleration Clause」=期限の利益喪失条項、のごとき)、英文契約書の読解や起案の観点からは、やはり具体的な文章の形などでその用法を正しく理解しておくことが必要です(例えば、「The repayment obligation of the Borrower hereunder shall be accelerated and become immediately due and payable.」=本契約書上の債務者の返済義務については、期限の利益を喪失し、直ちに弁済期日が到来し返済義務が生ずる、のごとき)。
このように、IPEC英文契約書講座では、さまざまな法律英語の基本語句とその具体的な用法について、数多くの類型(タイプ)にわたる英文契約書をきっちりと読み解くことにより、生きた知見を得ることができます。
加えて、IPEC英文契約書講座では例えば、債務者が期限の利益を喪失するという契約上の「効果」を生起させる「要件」にはではどのようなものがあるか(例えば、支払不能)、そして、「効果」として発生した期限の利益喪失という事態が今度はそれ自体が「要件」として機能して、どのような「効果」が連鎖的に生ずるのか(例えば、補償)といった各条項が織りなす因果の流れも含め、一般的な英文契約書に共通する構造(structure)を、各契約書の類型(タイプ)ごとに講義を通じて学ぶことができます。
昨今はAIの時代といわれ、ちょっとした英文契約書のドラフティングや翻訳であれば、生成AIを活用してレンチンの感覚で作成することも可能ですが、皆さんもよくご存じのとおり、その当否をレビューして最終的なクオリティーを担保する(アシュアランスを提供する)のはやはり人間の眼力です。さらには、英文契約書もまた複数当事者によるせめぎ合い、すなわち契約交渉というはなはだ人間臭いプロセスを経て確定するものであり、そこで拠りどころとなるのは、基礎知識をしっかりと踏まえた応用力に他なりません。
以上、長々と記しましたが、私が担当しますローン契約・M&A契約では、ご紹介した英文契約によく出てくる頻出重要用語の、さらに詳しい用例や活用方法などを直接の講義で学ぶことができ、上記で述べたような活きた知識の可能な限りの習得も目指しています。
英文契約によく出てくる頻出重要用語(ローン契約・M&A契約編)
- conditions precedent
- covenants
- representations and warranties
- events of default
- cross default
- indemnification
- hold ___ harmless from
- hair trigger breach
- acceleration
- lien
- jointly and severally with ___
- qualifier
- material adverse change
- merger
- change of control
- fairness opinion
- due diligence
- gun jumping
- closing
- price adjustment
- disclosure letter
- in good standing
- sandbagging
- exclusive negotiation right
- fiduciary duty
- break-up fee