受講講座
英文契約書講座( 2023年10月~2024年3月 )
企業法務担当者 ヒロセ電機株式会社 三浦健太郎様
私は、電子部品メーカーの法務部門で1年ほど働いております。契約書レビューを中心として、法務相談・コンプライアンス対応など幅広く業務を担当しております。法務としては、3年ほどの経験があります。
Q1. IPEC英文契約書講座を受講された目的を教えてください。
A1. 海外取引が多いことから英文契約書もそれなりに出ます。しかしながら、私には英文契約書のレビュー経験がほとんどありませんでした。まず英文契約書独特の英文を読みといて修正できるよう基礎的な力を身に着けることを目的としていました。
日本国内の契約書では「協議」という文言がよく出てきますが、海外の契約書ではそういったあいまいな文言を許されないため、書いてあることを理解できるかどうかは大きな問題でした。そういったことへの対応もできればと考えておりました。
Q2. 実務で取り扱われている英文契約書の類型やチェックの際に困ることや難しいと感じていることがあれば教えてください。
A2. メーカーですので、以下のような商品と技術にかかわる契約書がとても多いです。
・NDA ・継続的売買契約書 ・ライセンス契約書 ・MOU(覚書)
契約書が出てきてさあ読み解こうと思っても、単語も文構造も分からず、とても時間がかかるということが 多かったです。海外だと国内よりもスピード感が求められる一方、時差と距離の関係でヒアリングが制限されることから、契約書の修正文言やコメントをどう書くかかなり慎重に考えておりました。
Q3. 3名の講師の担当講義で習得できたことや実務で役立てることができそうな内容(印象にのこっていること)についてお聞かせください。
A3 -1. 平野先生の講義では、
- 1 sentence 17 wordsという読みやすい文書の組み立て方、"set forth herein", "hereby", "provided that however"などといった英文契約書独特の文言の解説は、印象に残りました。また、テキストの契約書文言の中で出てきた用語を何回も繰り返し解説していただいたことでかなり頭に定着しました。
- 契約交渉の流れがとても参考になりました(NDA→タームシート・LOI・MOUの締結→確定契約書の作成)。
A3-2. 秘密保持契約、MOU、合弁契約を担当した実務家の先生の講義では、
- 複雑な文構造の英文をどのように読んでいるのか講義の中で実演していただき、マーカーを複数使い分けて主語や文構造をきちんと区別していただきました。これでどのように英文を読み解いているのかかなりクリアになりました。
- 秘密保持契約で講師自身のご経験をふまえて話をされていたので、たとえば契約期間についてもどのようなケースがありうるのか参考になりました。
A3-3. ローン契約とM&A契約を担当した先生の講義では、
- ローン契約とM&A契約で全く異なる種類の契約書においても、金額が大きくなりがちな取引では共通する考え方があることに驚きました。
- M&Aの交渉でのヒヤッとした実経験、M&Aでの考え方(会社(株主)が売りに出されるのはワケがある、冷静な目をもって契約交渉にあたり時には嫌われ者になる)といったことも教えていただき、契約書の文言だけでは必ずしも分からない実際のイメージを想像することができました。
allegedlyといった難しい単語を"no need of proved"(挙証責任の転換)と分かりやすく解説していただきよかったです。また、長い文章の構造解説も分かりやすく、どの節がどこにかかっているのか参考になりました。
Q4. 本講座では、予習と復習(課題)ができるように毎講の連絡シートを配布していました。ご自身の予習や復習の取り組みについては、いかがでしたでしょうか。
A4. 全くできておりませんでした。
Q5. 本講座では、中間時と修了時にご自身で授業内容を理解しているかなど進捗がわかるように「確認テスト」に取り組んでいただきました。後日、講師からフィードバックもさせていただきましたが、ご感想をお聞かせください。
A5. テスト回答にかなり時間がかかりましたが、講義でやったことを定着させるいい機会になりました。分からない点を追加で調べることによって、講義の内容にとどまらず発展させて考えることもできました。
Q6. 「Q&Aセッション」にご参加いただき、ありがとうございました。質疑応答の内容や担当講師の説明について、ご感想をお聞かせください。
A6. 自分で悩んでいたところがクリアになってよかったです。講師ご自身の経験から参考になった英文契約書の書籍も教えていただき参考になりました。
Q7. 対面授業/ライブ配信授業/オンデマンド配信授業の中から、選択された形式の理由を教えてください。
A7. 対面授業を選択しました。片道1時間かかるためとても大変でしたが、分からなければ講師に対面で直接質問をすることができたので理解がはかどりました。
Q8. IPECオリジナル教材や副読本は、実務でも役立てられそうですか。
A8. 実際の交渉でそのまま使うことは難しいですが、契約書や交渉に対する講師のエッセンスが詰まっておりますのでその考え方を軸にして対応していくことができます。
平野先生の「体系アメリカ契約法」は、日本民法とアメリカ法の違いを調べたいときに参照しています(たとえば契約不適合責任/明示・黙示の保証の違い)。また、「国際契約の<起案学>」は、契約書の表現を改善するときに使っております。
Q9. 企業法務担当者や企業内弁護士の方々へ、本講座のお薦めポイントや活用法がありましたらお聞かせください。
A9. 英文契約の体系的な知識、合弁・M&A契約の実体験を学ぶことができます。
ご協力ありがとうございました。 今後のご活躍をお祈り申し上げます。